アニメ『セーラームーン』終盤のシリアスな展開。四戦士が死にタキシード仮面も死ぬ。彼女たちの死に様はあまりに壮絶なのだが、セーラームーンは、最愛の人へ別れのキスを思いとどまる。
「みんな好きな人とキスもできずに死んじゃったの。だから私だけキスできない」
そう言って唇にふれず立ち上がる。これまでステロタイプに過ぎるほどだった「14歳の女の子」が見せた泥臭い友情は、例えるなら『魁!男塾』の中でも、桃や富樫ではなく、松尾や田沢のような泥臭さ。
そういう、自分にはできないことをやってのける相手への、心地よい敗北に似た尊敬の感情が、セーラームーンにはあって、大変な名作であったと思います。